効率のよい売り方はないかと考えていたとき、大阪市立大学の公開セミナーでインターネットを知り、ウェブショップに賭けることにした(ショップ名も岩城真珠)。
もちろん、宝飾品という性格上、右から左に飛ぶように売れるというわけにはいかない。
それでも、真珠好きの女性やかわいいアクセサリーに目がない女性の間で評判になりオープンして一年ほどで、毎月100万円以上を売り上げるまでになった。人気の秘密は、デザインや応対などいくつもあるが、最大の魅力は価格が安いことだろう。
ウェブショップである「岩城真珠」には店舗がない。
店頭に置くたくさんの在庫も、豪華なショーケースも、華やかさを演出する照明もないし、いつ来るかわからないお客を待つ店員もいない。
設備といえばパソコンとデジタルカメラ、経費といえば電話料金やサーバ一の管理費などが月数万円。
設備投資もランニングコストも、リアルの宝飾店の1割にも満たない。
それだけ、真珠の売り値を二〜三割も下げることができる。ものによっては、市価の半額といったものもある。
だから、老舗や有名店がたくさんあるなかで、小売業者としては無名の同社がお客を獲得できたのだ。
松阪肉のまるけんは、その名のとおり、三重県松阪市の駅前商店街にある。
三代続-実績のある精肉店だが、地方の商店の例にもれず、郊外の大型店やスーパーの進出に悩まされてきた。
その悩みを解決してくれたのがウェブショップ「松阪肉のまるけん」だ。
同社がウェブで販売しているのは、おおむね100グラム二二〇〇円から一五〇〇円の松阪肉だ。
デパートで買うより二割は安い。
だが、まるけんのリアルの店舗には常時松阪肉を置いているわけではないし、店頭で売る場合には、これほど安くはしない。
山本純聖社長によれば、「盆や正月を除けば高価な松阪肉を買う人は少ないし、いても有名百貨店で買う人がほとんど」だからである。
たとえスライスしてショーケースに並べても、売れ残る可能性が大きくなれば原価も高い商品たけに、売り値はロスを見込んでさらに高くなる、一ウェブショップなら、肉は注文があってからスライスすればよい。冷蔵ショーケースもいらない。古-なって変色した肉を廃棄することもない。「まるけん」の場合、インターネットにかかる経費は月に四、五万円。
無駄が滅り、コストがかからない分、安く売ることができる。
宅配の送料も無料にしている。
安くておいしい松阪肉が食べられると、たちまち評判になり、九八年二月にオープンして、その年の一一月には七〇〇万円を売り上げたという。
いまでは月商1000万円近い、ウェブショップ屈指の繁盛店だ。
ブランド品の販売は要注意よいものを安-売るのは、商売の基本だ。
だが、中小企業では、量販店のように大日要仕入でメーカーに対してバイイングパワーを発揮し、それによって安く仕入れるという方法はとれない。
なかには、独自の仕入ルールを開拓して安売りに成功している企業もあるが、市場にコネがあるなど、だれにでもできるというものではないケースが多い。
だが、ウェブショップなら、固定費が少ない分、無理なく売り値を下げることができる。安ければ売れるというものではないが、消費者にとって大きな魅力であることはまちがいない。
ただし、海外のブランド品などを扱う場合には注意が必要だ。
安売りするなら取引しないというメーカーもあるし、ほかの販売店から苦情を受け、やむをえず出荷停止など圧力をかけてくるメーカーもあるからだ。
そのため、ブランド品を扱うウェブショップのなかには、見積もりをほかの業者に持ち込まないようサイト上で依頼しているところもある。
サイトインターネット上で情報を提供しているサーバーのことだが、「わが社のサイト」というように、ホームページと同じ意味でも使われる。
ウェブサイトともいう。
お客の率直な意見を開くことができるウェブショップが、新しい売り方であることを最も実感させてくれるのは、少しの手間で、お客とのコミュニケーションを深め、ニーズを探ることができる点だ。
その結果、新商品のアイデアを得ることができるし、商品開発にともなうリスクを小さくすることもできる。
店頭では聞けない声を聞く備前屋は一七八二年創業の老舗で、愛知県岡崎市で和洋菓子の製造を営んでいる一。
中野邦夫専務が運営するウェブションプ「備前屋」も、九五年スター-の草分けだ。
ただ、岡崎市の本店を含めて九店舗を運営し、年間一五億円を売り上げる同社にとって、月商100万円程度のウェブショップは、販売のチャネルとしてはあまり魅力がない。それでもウェブショップを続けているのは、「店頭ではなかなか聞けないお客様の声が聞ける」からだ。
ショップのお客は、ただ注文するだけではなく、商品に対する感想や問い合わせをしていることが多い。手紙とちがって、電子メールは切手もいらないし、ポストに投函する手間もかからない。
面と向かって話すときのように、「こんなことを聞いたら恥ずかしいのでは」と思うともかぎらないからだ。備前屋では注文フォームに通信欄があるほか、お客からの意見や要望をうかがう「あわ雪茶屋」というコーナーも設けている。
お客からのメールのうち、問い合わせの多いもの、ほかの人たちにも知ってもらいたいものは、備前屋の回答と合わせて「あわ雪茶屋」で公開している。
備前屋には、たとえば看板商品の「あわ雪」について「ハーフサイズはないのか」とか、「ブルーベリーと合うのではないか」といったメールが寄せられる。
そうした声に触発されて生まれたチョコレート味の「あわ雪」は、リアルの店頭でも定番商品に成長した。
また、九五年からは和菓子でつくったクリスマスケ一キを販売しているが、これも電子メールで寄せられたお客のアイデアがもとになっている。
お客の声を聞くことは店頭でも不可能ではない。
しかし、お客にうるさがられることも多いし、遠慮してお世辞しか言わない客も多い。
ウェブショップのように、お客のストレートな意見を聞くことは難しい。
お客の反応を確かめながら商品開発播州ハム丁某所でも商日間開発にウェブショップを役立てている。
同社では、そのまま食べておいしい焼き豚をつくってきたが、新たにラーメンに入れておいしい焼き豚を開発することにした。味付けなどはすぐにアイデアがまとまったが、迷ったのは材料に使う部位である。
ばら肉にするかもも肉にするか。
想康志向の高まりを考えると、脂肪の少ないもも肉のほうがニーズがあると思われたが確信はもてなかった。
かといって、調査会社に頼んだのでは時間もコストかもしれない。
そこで、ウェブショップで試しに両方売り出してみた。反応はその日のうちにあり、あっという間に数十件の注文が集まった。
だが、そのほとんどは予想に反して、脂身たっぷりのばら肉のほうだった。
堀田社長は「考えてみれば健康志向の焼き豚なんてだれでも思いつくこと。
ス一パーや百貨店に行けばいくらでもある。
ウェブのおかげでまちがいにすぐ気づくことができた」と語る。
こうして生まれた「ラーメンによく合う焼き豚」は、もちろん人気商品の一つになっている。
ウェブショップでは、実際に商品をつくらなくても、ホームページに少し手を加えるだけで新しい商品を売り出せる。
反応をすぐに確かめることもできる一。
仮説の検証が容易にできるのだ。しかも、コストもかからない。
播州ハムの場合、かかった費用といえば、見本につくった焼き豚の材料費くらい。
ホームページは、堀田さん自身が修正した。
コスト削減に加え、水の改善や市場シェア拡大が奏功し、予想外の水となった。
ウォーターサーバーのタイトル&説明文は、他の広告とウォーターサーバーとしっかり差別化できているだろうか。



